食べ物レポート

和菓子の話

川越には文化がある。やはりお殿様がいた町なのだ。お殿様のいた町だから老舗の和菓子屋があると言うのは真実かどうかは知らないが、川越には有名な和菓子屋が二軒ある。おそらくどちらの店も謂れはあると思うが、それもよくは知らない。ただ、二軒とも最中が有名だ。

この福造というもなかが、全国的に有名なのかどうかはわからないが、自分の中では最中界の最上級であるように思っている。東京には銀座の空也、吉祥寺の小ざさをはじめとして、最中の有名店はたくさんある。しかし、個人的にはどこの最中よりも、この「福蔵」が好みだ。四角い最中で中にはぎっしりと餡が詰まっている。餡は甘めだが、そのあんこの真ん中に福餅という餅が入っている。この餅のねっとり感が好きなのだ。お値段も手頃だし、バラ売りもしている。何かめげてしまいそうなことがあると、この最中を一つだけ買い、一気に貪り食う。大体それでなんとかなるほどの単純な人生を送ってきた。普段から甘い物を大量に食べる習慣もなく、人生の辛さに項垂れることがやたらあるわけでもない。だから、福藏にお世話になるのは、せいぜい一年に一個とか2個という頻度だ。最中一個で回復するような落ち込など大したこともない。そのはずなのだが、最近はどうにもこの最中を食べたくて仕方がない。落ち込んでいるからではなく、腹が立つかららしい。何より、コロナで右往左往するおバカな政治屋たちに腹が立つので、つい最中を食べてしまう。

どうやら怒りを鎮めるには、甘いものであればなんでも良いということではないようで、かりんとうは役に立たず、ショートケーキ系も効き目が薄い。ちょっとお高いチョコレートは若干効果アリだった。和菓子ではどら焼きとか饅頭も効果なしで、カステラも不発。圧倒的な破壊力というか鎮静力があるのが最中だ。理由はわからない。ただ、家から歩いてすぐのところに、この最中が売っているのはありがたいことだ。甘いものの食べ過ぎは控えなければいけない歳だが、どうにも最近はこの最中に引き寄せられてしまう。怒りの感情に負けて寿命を縮めるか、甘い最中の食べ過ぎで体調を崩すか。人生の重大な別れ道に差し掛かってしまったようだ。

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