街を歩く

撮影不許可の展示館の中で撮った貴重な写真

中小企業庁主催の展示会がお台場であった。久しぶりに展示会に行ってみたのだが、通路の幅が広がっていたり、入り口出口の一方通行だったり、入場登録はQRコードの読み取りだったりと、色々な感染対策がされていた。社会もそれなりにコロナと折り合っていくものだと妙に感心したのだが、それ以上に感心したのは会場内を埋め尽くす黒いスーツだった。今や日本人ビジネスマンは黒のスーツ以外着ないのかと言いたくなるほどのカラス軍団で、一歩間違えば葬式会場と見間違えしかねない黒さだ。場内は情報漏洩防止のためか写真撮影禁止だった。

おそらく会場内のスペースに余裕があったのだろうと思うが、なぜか「はやぶさ2」の実物大模型が展示されていて、そこはJAXAの担当者がいて説明をしていた。なんだか、中小企業庁主催イベントと宇宙衛星の組み合わせに違和感があったのだが、展示を見ていて理解できた。はやぶさ2の様々な部品が、中小企業のハンドメイドのワンオフものだったからだ。部品や素材は大企業だけが作っているのではないという、まさに「下町ロケット」の世界だった。これには、感動してしまった。思わずうるうるしそうになった。

そんな感動にひたって?いる時に、ふと思い出したのが、「はやぶさ2」は予算を削られてギリギリの工夫で作られたという話だった。科学技術に対する政治的な問題は、政府批判好きの野党にとって格好のネタだ。個人的な政治心情は横において話をすると、宇宙開発とか、量子コンピューターとか、常温超電動とか巨額な金がかかるのに明日の成果にはならないものは、全て邪魔者扱いされる気がする。野党時代に批判的だったのだから、政権をとれば予算カットするのは当たり前だろう。現代版の焚書坑儒にも近いと言いたくなる。ただその結果「はやぶさ2」は低予算で効率化が図られたようなので、ミッション成功したことを考えれば、ひょっとすると、本当にひょっとすると、当時の政権は意図とは別に科学の進歩に貢献したのかもしれない。
ただし、単純に理系的な素養がないから科学の進歩を理解できないのではなく、理系的な産物に憎悪を抱いているのかと思いたくなる政治的発言が罷り通る。まあ、そういう人は「はやぶさ2」も金の無駄遣いだと切り捨てるのだろうな。それと同じ口で、二酸化炭素削減とか地球に優しいとかSDGsとかいうのだが、それを実行するには科学技術的突破が必要だということには目を瞑るらしい。一見、今は無駄な金を使っているとみえる技術開発から様々な「人の役に立つもの」が生まれてきた。100年前の飛行機は、馬鹿者の道楽だったが、今や一大産業だ。ガソリン自動車も馬車には敵わないと言われていた時代があった。蒸気機関車は煙が臭いと街の端に追いやられていた。

実際に見た「はやぶさ2」(模型)は、想像以上に大きかった。打ち上げの時は、全体が折りたたまれて小さくなった状態だったことは理解できる。宇宙空間に飛び出してから順番にパーツを展開してこの大きさになるのを想像すると、背筋がゾクゾクした。人類のご先祖さまがアフリカの谷から脱出して(彷徨い出して)以来、人類はともかく見たことのないところに行きたがる生き物だった。「はやぶさ2」は、そのどこか知らない遠くに行きたいという思いを実現するための道具の一つなのだ。それを下町の工場が支えているというのは、なんだか「全人類的協調」の証のようでとても嬉しく思った。

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