知人の話では、テレビで紹介されていたらしい「丸亀製麺」のうどんテイクアウト だが、これが期待をびっくりするほど裏切る「良い製品」だった。麺のテイクアウトといえば、出前で注文した時の伸びきったラーメンとか、箸で持ち上げると全部一塊になるそばとか、悪いイメージしかない。ほかは、コンビニで売っている「麺もどき」商品群だ。個人的にはコンビニざるそばの、決してうまくはないが、「俺たちこんなに頑張っているんだぜ」と言っているかのような、小物大量投入(そばのくっつきをほぐす水、海苔、わさび、ネギなどの小物、別入りの蕎麦つゆ、一口大にまとめた団子状のそばなどなど)セットはよく食べる。人間誰しも、旨いまずいだけで物を食べるわけではないのだ、といつも心の中で言い聞かせているが。

さて、うどんの話に戻すと、茹でたうどんは透明な専用容器に収められている。うどん容器を下のうどんつゆ入り丼にかぶせると、ぴったり隙間がなくなる。この上部にあるうどん容器の中に煙突のような突起部分があって、そこに開いた小さな穴からうどんのつゆの蒸気が上がってくる仕組みだ。よく考えているなあと思わず感心した。確かに湯気でうどんの入った容器とつゆの入った容器の間に隙間ができる可能性がある。つゆが熱ければ熱いほど、その隙間ができやすい。ところが、梅雨から出る蒸気を、煙突部分を通してうどん容器の中に逃す。これで密閉が保たれ、つゆ漏れによる汚れを避けることができる。すごい仕組みだ。持って帰ったうどんは、さすがに出来立てとまではいえないが、十ブウに歯応えがある。コンビニのなんちゃって麺商品と比べれば、値段も安くはるかに旨い。

そして、天ぷらは専用紙容器に自分で詰めるのだが、この箱も内側にコーティンスがされていて、油漏れが防止されている。渡されたプラ容器にネギと生姜は詰め放題だった。セットで一緒に買ったいなり寿司には「テイクアウトの製造表記」がある。これは実に素晴らしいことで、大概の店のテイクアウト対応では、この製造ステッカーが貼られていない。(作り置きでなければステッカーなしでも法的問題はないはずだが、企業としての倫理みたいなものか)
アフターコロナ の時代に、これまで店内飲食しかしてこなかった企業も本格的にテイクアウトに乗り出してきている。ただし、こういう進化や工夫を重ねていく企業だけが生き残り、なんちゃって商品(店で作っている物を箱に詰めただけ)は退場を迫られる。優者必勝の時代ではなく、優者劣敗、鈍者必敗の時代だ。来年の春までに勝負はつくと思うが、本当に厳しい時代になってしまった。