知る人ぞ知る名店というのは、どこの街に行ってもあると思うが、この店もその一つだろう。表通りからは店の存在はわからない。ナビに入れた住所にたどり着くまで何度行ったり来たりしたことか。札幌にあるカレースープラーメン? 「寅の虎」(とらのこ)。住宅地の中にあるひっこんんだ場所で、飲食ビルというより小ぶりのオフィスビルなのか、住宅の改造なのか。

店の面は個性的というか、これを見てラーメン屋と思えという方に無理がある。ぱっと見ではデザイン事務所とか美容室あたりに見える。これが表通りにあればそれなりに目立つので看板がわりになると想いが、住宅地の中の中通りというかトラックが入れそうにない狭い道と駐車場に囲まれた場所だ。これだけでもすごいと思おうが、店の中に入るとこれまたシンプルでシックな店だ。

そしてカレーラーメン。からさはチョ旺盛できるらしい。スープカレーはもともとラーメンのスープをカレー味にしたのだという話を聞いたことがあるが、これはまさしくスープでカレー味で、うまいラーメンだった。千歳周辺ではカレーラーメンがローカルラーメン的に一般化しているよ王だが、それとはちょっと違う。ああ、うまい、また食べたいという完成度といえば良いのだろうか。

ご飯が無料サービスだというのはあっさり断ったのだが、どうやら麺を食べ終わった後、スープにご飯を投入して「あと飯」にするのが定番らしく、周りの客は皆さん、それを楽しんでいた。うーん、失敗だった。次回は忘れずにあと飯にしようと堅く心に誓った。最新鋭のラーメン屋はどこもチャーシューにこだわっているようで、だいたい柔らかで厚切りになっている。従来型の硬くて薄切りのチャーシューは、今のラーメン界では絶滅種らしい。に種の違うチャーシューを載せるのが新鋭店の流儀のようだ。わざわざ食べに行く場所にあるラーメン屋が名店の証なのだね。この店はぜひ実食して欲しい貴重な店だ。