洋食屋に行くと、まれに「ポークチャップ」というメニューに出会うことがある。正しいポークチャップの定義は知らないが、ステーキ的な厚めの肉をケチャップ味で焼いたようなものというのが個人的な理解だ。ビーフステーキは価格が高いので安価に豚肉のステーキを提供するのだが、豚肉には臭みがあるので強めのソースで味付けしたものというようなことではないかと思っていた。

札幌駅周辺で所用があり昼飯を何にしようとあちこち見て回っていたのだが、いつもの鮨屋は行列が復活してい他ので諦めた。(それはそれでよろしいことなのだが)ひさしぶりにお好み焼きも良いかなと思ったが、これから人と会うときに身体中にお好み焼きの匂いがつくの困り物だ。たまたま居酒屋の店頭の看板にあるランチメニューを見ていたら、なんとポークチャップがあるらしい。ということでフラフラとその居酒屋に入ってしまったのだが。サラダという名のキャベツ千切りと鉄板に乗った焼肉のようなものが出てきた。

この生姜焼きのような代物が、甘辛い醤油味の豚肉で、上にかかっているのはパルメザンチーズらしい。肉の下にちょっと見えているが、かなり大量の炒めたスパゲッティがある。スパゲッティの味付けは醤油味。つまり醤油味の洋風焼きそば、豚肉大盛り乗せ的な料理だった。まずいとは言わない。鉄板の上で熱々なのだし、何か違うメニュー名だったら、なかなかの創作ぶりだと思わず褒めたかもしれない。しかし、これはポークチャップではないぞ、と言いたい。
味も見た目も期待と違う料理が出てきたとき、腹立たしく思うか、やれやれと諦めるか。今回はやれやれパターンだが、この店はもう行かないだろうなとは思う。やられた感満載で、近来稀に見る失敗ランチ経験だった。こうした失敗を避けるためには定番の店の定番メニューしか頼まないという生き方もあるのだが、それではあまりに人生が悲しい。チャレンジあるから人生だ、と自己憐憫した札幌の出来事だった。