書評・映像評

イノセンス 甲殻機動隊異聞

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気がつけば、もう20年近く前の作品なのだ。絵的な観点から見ればCGか普通に使われるようになった時代だった。自動車の移動シーンでは背景の絵柄との不具合というか、違いが目立つ。話の展開は少佐が電脳世界の中に溶け込み行方不明?になった後のバトーの暮らし、ということになるのか。いわゆるギミック的なSF設定もなく、登場人物も少ない。眈々とバトーの捜査ぶりを描くだけで、盛り上がりに欠けるといえば、確かにストーリーに膨らみはない。

押井監督らしいといえば当たっているのか、「抑えた物語」という点ではパトレーバーから、この後のスカイクローラーにつながる一連の押井作品は同じ色調だった。テレビ版の攻殻機動隊がガンシーン乱発のドンパチ・サスペンスだったのと比べれば、明らかにトーンを抑えた違う物語に仕上がっている。

この作品の後から、妙に屈折したキャラ造形が増え始めたような記憶がある。少年ジャンプ的な「努力と友情」で正義の戦いをするというお話はすっかり減っていったのではないか。機動戦士ガンダム・シリーズに出てくる一連の主人公キャラが全員屈折していた(屈折していった)少年だったが、それの大人版が、このバトーなのだと思う。本編攻殻機動隊では少佐の補佐役として、いい味出していたのが、この話ではすっかり陰鬱で下を向いているキャラに変わってしまったようだ。もとこロスなのだろう。

スピンアウトでキャラ変させるのは、押井作品のもう一つの特徴でもあると思うが、ここまで屈折させなくても良いのでは。択捉の工業地帯の描写はなかなか見所があるが、先の戦争で壊滅したはずの関東地区あたりで、もう一つの話を作ってくれないかと思っていたのだが。続編が出なかったのは興行的な問題よりも、押井監督の「次は実写」という作品へのこだわりだったのだろうと思う。できれば明るいバトーの話が見たかった・・・。絵をじっくり楽しみたい人には向いている抑えた大人のアニメーションだ。

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