外食ビジネスをマーケティングしてみると、外食特有の特徴的な切り口がある。その一つが「デイパート」で、簡単に言えば、何時ものを食べるかということだ。普通に考えれば1日三食と言うことになるが、外食を商売とするとそれだけでは我慢できない。もっと売れないかと思う。
「朝食」「昼食」「夕食」に加えて午後の「ティータイム」「深夜食」と合わせて1日5回を取り込もうと言う貪欲さだ。ただし、これは極めて経営的視点で、現場からすると勘弁してくれよと言う話になりがちだ。

コロナで苦戦が続くと、誰もがここに目をつけるようで、夜の外出自粛があるから「朝飯だ」となってしまうのも無理はない。外食の素人が経営者になると、必ずこの話が出てくる。それくらい「朝食」というのは誰でもが思いつき、そして成功難度が高い。まあ、チャレンジの結果、突破口が開くのは外食全体としてよろしいことだ。コンビニのおにぎりに対抗できる朝食を外食がどう実現するか。
幸楽苑というラーメンチェーンが朝食に挑み始めたと聞き(幸楽苑は外食玄人経営者のはずなので、そこはちょっと違っているだろ)、ヨタヨタと自転車を走らせ朝飯を食べに行った。価格は微妙な400・500・600円という三階層で、昨今流行になっている税込価格。ただもう直ぐ価格表記は税込に一本化されるので、それの先取りということもあるのだろう。

一番高い600円のラーメン(朝ラーだ)とお粥のセットにした。ラーメンはシジミエキス入り醤油味で、これは昼でも売って欲しいかという良い商品だ。しじみの味と言われれば、確かに濃い目の旨味がする。ただ、ちょっと塩味が強くなりすぎている感もある、おかゆは、いわゆる「中華粥」で味付きだった。チャーシューの細切れ入りでなかなかボリュームがある。ただし、温度が低い。緩いというか冷めているという感じで、これはいただけない。米の分量が多いせいか、おかゆというよりおじや感がする。
結局、うまいまずいよりも、この量を朝から完食するのは厳しいという結論で、おそらくラーメンのセットは重すぎるのだ。おかゆと野菜スープという組み合わせであればいけそうな気がする。しかし、店内に他の客はいないので、おかゆ朝食にしろ朝ラーにしろ定着までは長い道のりだというのは間違いなさそうだ。次回は週末で、確かめてみようか。