サイゼリヤのセルフ味変政策?は、実に面白い試みだ。サイゼリヤの特徴は、定番商品を安く売るということにある。他のファミリーレストランのように季節メニューで気を引くということをあまりやろうとしない。潔い。自社定番商品へのこだわりというか自信の現れであり、開発に伴う費用を切り捨てるという側面もある。

これまでサイゼリヤはピザに対して一般的なタバスコソースを提供していた。それをやめて自社製ホットソースというものに切り替えた。原因は二つあるだろう。一つ目はコスト削減。タバスコの小瓶は実にコスト高なソースだ。たまに大瓶で出している店があるが、あれはあれで中身の賞味期限が気になる。
一番良いのは大袋で買ったソースを小分けにするような方法で、表面に貼ってあるラベルだけあれば補充は可能だ。もう一つは味に対するこだわりだろう。タバスコは酸味塩味ともに強すぎる場合がある。この写真のホットソースのボトルを見る限り、店内補充しているのは間違いなさそうだ。シールが歪んでいるし。

そもそもピザにタバスコという組み合わせは喫茶店の軽食文化が産んだものだろう。イタリアに行ってピザを食べる時に辛味として使うのはクラッシュペッパー、赤唐辛子を砕いたものだ。ほかには、オリーブオイルに唐辛子を漬け込んだチリオイルのようなものだった。タバスコはアメリカ生れのシロモノなので、イタリアで料理に使われるとは思えない。そもそもアメリカのピザ屋でもタバスコは出てこない。基本的にクラッシュペッパーだと記憶している。
だから、サイゼリヤの唐辛子フレークという存在が実にお気に入りだった。本格派なのだ・・・。ただ、日本人の客の一般的な嗜好として「ピザにかけるからタバスコくれ」というのは理解できる。本場イタリアではタバスコなど使っていないと顧客相手に喧嘩をしても仕方がないから、ホットソースを開発したということだと推測できる。
設計思想が、そんな話なのではないかと勘ぐっているのだが。それだけに「たっぷりかけるマイルドな辛いソース」という訳のわからんコンセプトが、これはこれでアリだなと思う。個人的には、これも単体で売って欲しいものだ・・・。出来れば唐辛子フレークも単体で別売りをお願いしたい。
うーん、サイゼリヤの値上げに伴う運営方法の変更は、なかなか良い方向なのだな。ちなみに、サイゼリヤのソーステーブル?には、割り箸も置いてあり、ナイフとフォークではなく箸でパスタやピザを食べるのがマイスタイルなのだが、周りで箸を使っている人を見かけないのはなぜだろう?