もう閉店してしまったようなのだが、東京虎ノ門「みなとや」が、ラー油そばの本家本元らしい。そのみなとや派生の数々のインスパイア系というか劣化コピー店が増殖した時期があった。やはり劣化版は早々と消えていき、東京でもラー油そばは残り少ない。地元の所沢にも一店舗あったがわずか半年も経たずに消えた。あのモチモチとした感触の蕎麦と強烈な出汁の効いたつゆのバランスを真似するのは簡単ではないのだ。おそらく原価的に相当厳しい食べ物なのだろうと思う。
その後も劣化コピー店を地方都市ではたまに見かけたが、おそらくそのほとんどは生き残ってはいないのだろう。残念なことだと思っていたら、ひょんなことから札幌でラー油そばの店を発見した。ネットの情報によると元はラーメン屋だったらしい。

だからつゆが豚骨ベースもあるし、蕎麦ではなくラーメンもあるようだ。それはそれで旨そうなのだが。ここは正統ラー油そばを食べるのだと意気込んで突入した。メニューを見れば、鬼蕎麦、いわゆる腰の強い日本蕎麦をラー油ツユで食べるものと、鬼蕎麦豚退治、蕎麦を豚骨スープで食べるものの2種類があるようだ。迷うことなく鬼蕎麦 豚盛りを注文する。

実食をして初めてわかることだが、見た目は典型的なラー油そばなのだ。肉が牛肉ではなく豚肉。これは北海道的肉の嗜好性を考えると理解できる。が、冷めた豚肉は牛肉より若干ながら味が落ちる感じがする。そして、残念だったのが「麺のコシ」。あまりに弱いのだ。ツルツルっとは飲み込めない太さと硬さ、もぐもぐと噛み締める強さがない。
山形の板そばも現地で食べたあとに、東京あたりで軟弱化したものを食べると、その麺のコシの差があるのがよくわかる。多分これも札幌アレンジだとは思うがちょっと残念だ。
そしてツユ、これも味が薄いというか弱い。ラー油も足りない。ラー油そばはもともと麺の提供量が多いので、つゆが薄いと最後の方には味がしなくなってしまう。このバランス感が難しいのだが。

なので気持ちはわかるが、もう少し改良して欲しいなあという感じだった。ただ、隣で食べていた豚骨スープというか、ラーメンスープで食べていたそばはうまそうだった。本命はあちらなのかもしれないので、次回は「とんこつ 豚退治」に挑戦してみよう。