遠い昔はこうした郊外ロードサイド型の店は無かった。地下鉄駅の近くにカウンターだけの小さな店があり、隣にあるのはモスバーガーみたいな感じの場所と言えばいいのだろうか。営業時間も比較的長くて、夜になっても餃子が食べられるというのはありがたかった。ススキノの店では酔っ払いのおじさんたちがお土産を買っていたものだ。(多分、今でもそうだろう)

餃子専門店だから餃子定食が当たり前なのだが、なぜか単品のカレーも置いてある。このプレーンなカレーが200円を切る低価格で、確かご飯大盛りが30円+ みたいな設定だったから、当時の学生はこの店を餃子屋ではなくカレー屋として使っていた。ただし、ちょっとリッチな時には餃子3個を乗せた餃子カレーを注文した。カレーの味は、よく言えば普通にうまい、突っ込んで言えば平凡で甘めに仕上がっている。万人受けというか、誰も嫌いと言わない味付けだろう。だから時々無性に食べたくなり、そして、ああ、やっぱりこんな味だったよなと軽く残念に思う不思議な食べ物だ。

そうした昔の貧乏学生たちがすっかりオヤジになりジジイになって、今でもみよしのを訪れているのだが、そんなオヤジや祖父は、今では金もあるのだから餃子W 定食でも頼めば良いのに、相変わらず貧乏に餃子カレーを頼んだりするのが、なんともなくいじましいやら悲しいやら。自分でもその悲しみの餃子カレーを食べながら、そうだ、これでいいのだ、餃子W定食など贅沢だと自己満足に浸る喜びはまた格別なのだが。
ちょっと気になるのは周りにいるのがジジイだらけで、若い衆が見当たらない。大丈夫か、みよしの?