最近ではすっかり立ち食いそばでクイックランチなどということはしなくなった。あの駅のホームに漂う蕎麦つゆの匂いというのは、暴力的なまでに空腹を誘うものだが・・・。
所用で朝早めに仕事に出かける時には、たまに駅そばに誘惑されそうになることがあるが、駅そばの環境は寒い時、暑い時はあまり好ましくない。春とか秋だと良いのだけれど。
さて、立ち食いそばではなくファーストフード「なか卯」の蕎麦なのだ。そもそもなか卯はうどんと和風牛丼(すき焼き丼)の店で、蕎麦を売るようになったのは随分最近だと思う。蕎麦は冷凍麺のようで、それなりにコシもありなかなかよろしい。つゆは甘めで関西風的な感じもするが、きつね蕎麦やたぬき蕎麦にするよりも、牛丼の具を乗せたらしき肉そばが一番よろしいようだ。かまぼこが乗っているのは、なか卯オリジナルのうどんからの伝統だろう。

「品川駅の立ち食いそば」は、羽田空港に向かう京急のホームにあり、これはホームから少々引っ込んだ場所にあるので、雨風が凌げるというか、ホームの暑さ寒さとはちょっと遮断された快適な感じがある。時間に余裕があれば立ち寄るのになというような店だ。(ちなみにJR山手線ホームにある蕎麦屋は、囲いの中にあるが、残念ながら冬寒く夏暑い。蕎麦つゆの匂いもあまり外に出ていないので、はらぺこ感を刺激しないが、実は丼がなかなかうまかったりする。)
その京急品川の駅そばで、変わり種を頼んでみた。なぜかカレーそばを注文してしまったのだ。結果的に、すごく後悔した。かけそばの上にカレールーがかかっている、これのどこが悪いと言われれば、その通りですというしかない。期待していたのは蕎麦つゆにカレーを溶いたカレー味のそばだったのだが、それはこちらの思い込みでしかない。立ち食い蕎麦屋は食券販売機の字面だけ見て注文?することになるから、時々こんな失敗をしてしまう。やはり、立ち食い蕎麦は変化球を選ばず豪速球のストレートで勝負した方が良い。かけそばとかかき揚げ蕎麦あたりが無難で、海老天そばとかイカ天そばを頼むと、大量の衣の中に小さく眠るエビとかイカとご対面することになる。この点で期待を裏切らないのは、我孫子の駅にある鳥唐揚げ蕎麦だが、これは蕎麦の量より唐揚げの量の方が多いという、別の意味で期待とは異なる食べ物だ。

まあ、古くから営業している駅前の立ち食い蕎麦あたりが、いわゆる定番的な(ゲテモノなしの)標準形だとすると、駅の中にある蕎麦屋はモンスター系が多いような気がする。旅先でモンスターとご対面するのも楽しみだが、このカレーそばのように外れを引くと、1日落ち込んだりするので要注意だ。
ちなみに、カレーがかかった蕎麦として食べると、品川駅の蕎麦は普通にうまいのだ。注文した当人の思い込みの違いと言うことで、味に文句をつけたいわけではない。念のため。