北海道の札幌近郊に実家があり、仕事で出張するときにはふらりと里帰りをする。元々オイルショックあたりに開発された大規模団地なので、東京でいえば多摩ニュータウン、大阪で言えば千里あたりのイメージに近い。つまり住民が高齢化し、町の新陳代謝が進まないまま人口減少しているという場所だ。
だから、駅前とは言え飲み屋街があるわけでもなく、仕事帰りに一杯やろうという場所も少ないのだが。どうやら高齢化した住民が、ススキノまで飲みに行くほどでもないかという気分で、手近な飲み場所として大盛況している焼き鳥屋がある。その「串鳥」はスーパーの入り口という全く居酒屋には似合わない場所にある。

串鳥」は、北海道では有名焼き鳥チェーンで札幌市内のあちこちに店舗があるが、ここの串鳥ほどローカルニーズに支えられている店はないだろう。メニュー自体はススキノの真ん中や市内繁華街にある繁盛店と同じ。当然焼き鳥もフルラインで揃っている。
4時開店で、5時にはほぼ満席になるのだから立派なものだ。ちなみにこの街にはファミリーレストランはない。マクドナルドが幹線沿いにあった。(今はない)ケンタッキーもない。
だから、週末には焼き鳥屋がファミリーレストラン化する。おそらく祖父母のいる実家に子・孫が遊びにきたので、三世代でハンバーグを食べる代わりに焼き鳥屋に出動するということだろう。
お値段は札幌価格でリーズナブルだし、メニューも多い。飲み物も手頃に揃っている。まさしくファミリーレストランの要件は満たしているからの人気店ぶりだ。その結果、すごくうるさい。串鳥の店で会話をすると喉が枯れるというのも、これまた常識だ。
オススメのメニューはというと鳥串と(北海道的に言うと鳥精肉、東京風にねぎまと言われることはあまりないようだ)つくねだろうか。鶏団子を3個刺したものをつくねと言っていた時代もあったが、いまわ串鳥のせいで棒状つくねがデフォルト形態になったようだ。

串鳥のおもてなしは(?)は、注文前に鳥スープを持ってくるところだが、スープをすすりながらビールを頼み焼き鳥を適当に注文する。(個人的には胃に優しいので鳥スープはありがたい)焼き物を頼むと多少時間はかかるので、小鉢というか小皿料理を頼むのだが、絶品は鶏皮の酢の物。皮は湯引きしているのであまり油っぽくはない。これをつまみにちびちび酒を飲み焼き鳥が来るのを待つというのが「正しい串鳥の作法」と言いたい。
このタイミングで釜飯を注文しておくのも串鳥通だが、釜飯の話は別の機会に。