食べ物レポート

懐かしのスパゲッティ チロリン村

「チロリン村とくるみの木」と言っても、なんのことだかわからない人がほとんどだと思うが、これは遥か昔にNHKが放送していた番組名だ。高齢者の郷愁の中にしか存在しない。その「チロリン村」を店名にしたスパゲッティチェーン(パスタではない、スパゲッティ。ここ重要だ)が札幌にある。確か(おぼろげな記憶モードであるが)札幌地下鉄東西線円山駅にあった小さな店が始まりだったような。サイトを調べて見たら現在9店あるらしい。しかし地下鉄駅の店はなかった。

店名に冠された、ゆであげスパゲッティの意味は、実に懐かしい話だ。当時(昭和40-50年代)のスパゲッティは、大量に茹でおきした麺を炒めて仕上げる「ナポリタン」的なものが大半であり、いわば焼きそばの洋風版的な提供がほとんどだった。だから、麺にアルデンテなど求める方が間違いだった古き良き時代。ところが、注文が入る度に麺を茹で、時間がかかるが麺の質感の良いスパゲッティを出す店が出現した。同時に、イタリアンというか洋風以外の味付け、醤油や明太子といった和風味の提供も始まった。おそらく渋谷の「壁の穴」あたりが発祥で、全校区に広がったものだと思われる。それの札幌版が「チロリン村」ということだったのだろう。だから、この店は喫茶店のスパゲッティとは違うんだよという意味で、ゆであげスパゲッティと言い始めたのだと思う。

当時の高校生や大学生がこぞって押し寄せていた、いわばトレンド感度が高い店で、そこで注文するのは「箸」を使って食べる「納豆スパゲッティ」だった。(くどいようだが、パスタではないし、スプーンを使いフォークでくるくる麺を巻きとるこじゃれた?食べ方でもなかった)
言い訳ではないが、手垢のついた古びたメニューであるナポリタンを注文することはほとんどなかった。ナポリタンならどこの喫茶店でも食べられたからだ。

長い前置きはここまでで、実に何十年ぶり(大げさだが)かで、チロリン村のナポリタンを食べることにした。今やすっかりオヤジ化しているので、まずビールなどを頼んでみる。当然、サッポロクラシックとなる。

ビールで時間を潰すこと暫し、ナポリタン登場。海苔がかかっているのがユニークだ。ベーコンと玉ねぎというシンプルな具材で、おそらくトマトケチャップで味付けされたもの。小洒落たニンニクベースのトマトソースなどではないトマトケチャップ。ただ、油分が少ないので麺にケチャップが吸収されてしまい、なんだかもたついた食感がする。団子化しているのだ。うーん、期待とちょっと違うぞ。トマトチャップをソースがわりに使うときは、これでもかと油を入れて乳化の手助けをしておかないとこうなってしまうのだよね。ケチャップと油をケチると、家庭版ナポリタンになってしまい麺と麺がくっついてしまうのだ。まあ、それでもワシワシと食い切るのが、オヤジの食い方だが、麺を食うというより噛みしめるような食べ方になるのは仕方がない。スルスルではなくモグモグだ。そして、フォークなぞ使わず箸で食うのだ。最後に残ったビールで一気に口の中の麺を流し込む。

確かにこうした野蛮な食い方は学生の頃はできなかったなと、食べ終わってから周りの席を見渡したらやたら女性客が多。みなさんクリームソースやオイル系のイタリアンなパスタを召し上がっていた。どうやら誰も納豆スパゲッティなど注文していないようだ。あーあ、そろそろ店名変えた方が良いのではないか? 北海道産小麦を使った創作パスタの店とかにね。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中