食べ物レポート

福鳥本店 焼き鳥屋ってこうなんですよ

焼き鳥という業態は一体何時ごろからあるのだろう。
とりあえず知っている焼き鳥屋で一番古いのはこの店だろう。狸小路とススキノに挟まれた南三条通(札幌)は、昔から小体な店が開いては消えする不思議ストリートだ。消滅する店も多いが、アップグレードして引っ越して大店になることもある。そんな三条通の老舗焼き鳥屋福鳥の横は、札幌最強の焼き鳥チェーン「串鳥」が並んで営業中。若い人は串鳥派が多いようで、高齢者は福鳥へ。客層の棲み分けと言えば聞こえは良いが・・・。

昭和21年創業か、闇市があった時代

福鳥の焼き鳥は一皿の量が多い。一人で行って二皿注文したら持て余す量だ。もつ焼きやであれば「タン」を頼むのも良いが、札幌ではもつ焼きと焼き鳥の区別は明確ではないので、福鳥のタンはあくまでも焼き鳥屋のメニューということだろう。もつ焼きやのタンといえば、厚さ5mmくらいに薄切りにしたタンが横から串が刺さっているというイメージがある。(要はペラペラな焼肉状だ)福鳥のタンは、串焼きという形状ではない。なんというか、一番近いのはバーベキューの串?だろうか。厚みのある肉をもぐもぐと食うのは良いのだが、どうも調子が狂う。

豚のタンを金串で

この時期にうまいのはニシン漬けで、キャベツとにんじんと大根と麹の漬物だが、アクセントというか味付けで身欠ニシンが入っている。昔はどこの家庭でも冬になる前には漬物をつけらていたものだが、今や絶滅危惧種で、ジジイたちが懐かしがって食べる滅びゆく郷土食だ。昔は金持ちのうちでは野菜と同じくらいたっぷりと身欠ニシンが入っていた。貧乏人のうちでは身欠きニシンは探しても見つからないくらい少量しか入っていない、階級差の目立つ食べ物だった。漬物としては生臭く、かつ、麹のせいで発酵が進み急激に酸味が増していく。最後は漬物樽の表面があぶくでブクブクしていた。

懐かしのニシン漬け ニシン少なめモード

そんな野蛮な食べ物はスッカリ消滅して、今や工場製で安全管理のしっかりしたニシン漬けしか売っていない。自家製だと酸味が増す過程が楽しみなんだがなあ。北海道の秋の風物詩、漬物漬けももはや見ることができないから、せねて焼き鳥屋で食べることになる。

工場製のニシン漬けを賞味期限無視で冷蔵庫内で保存しておくと、実は酸っぱいニシン漬けの再現が可能なのだよ。ただし、発酵と腐敗は紙一重、自己責任でね。

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