食べ物レポート

お好み焼き風月 燻し銀な老舗?

札幌にあるお好み焼き屋「風月」は、この箸袋に書いてあるようにもはやソウルフードと言って間違いない。50年以上前から存在していて、今や大チェーン店だ。
札幌で風月デビューするのは、おそらく小学生くらいの時に親に連れられてというケースがほとんどだろう。そして高校生になると自分の小遣いで行くようになる。よく高校生カップルを見かけたりするし、女子高生同士もいたりする。その高校生たちが大人になって、自分の子供を連れてきたりする。そんな店だ。札幌の高校生で風月知らない奴はいるのかと思う。まあ、これと匹敵するのは「ぎょうざのみよしの」くらいか。

風月本店は女子校の目の前にあるが、なぜかそこで女子高生が制服でお好み焼きを食べるのはみたことがない。(当たり前か)その女子高校の近くにある公立校(男子比率高し)に通っているおバカ男子が、女子高生の気を引こうと安いお好み焼きを食べながら屯っていた店だ。
今は改装されすっかり立派になっているが、その昔は創業者のおっちゃんがくわえタバコで競馬新聞見ながら焼きそばを作っているような店だった。夏は店頭にテーブルをだし、かき氷なども食べられた。学校から地下鉄に乗るまでの通り道で、実にお世話になった。(感謝せねば)

この風月が札幌ドミナントになるには色々な苦労があったとは思うが、今やさっぽろでは風月以外のお好み焼き屋は成立しないほど排他的支配力を持つに至る。おそらく全国チェーンである本家本元のお好み焼き屋鶴橋風月も苦虫を噛み潰したような気がしているはずだ。札幌ほどの大都市で、それも関東関西バイアスがかからない都市で、これほど店数が少ないのだ。そもそも鶴橋風月と札幌の風月には何の関係もないだろうが、鶴橋風月の方がパクリと思われる可能性がある。

さて、お好み焼きの話だが、風月のお好み焼きで一番安いのはイカ玉だった。確か150円(当時は消費税なし)だった。比較対象のためにいくつか挙げると、セブンスター(たばこ)100円、コカコーラ ガラス瓶入り210ml 30円、地下鉄初乗り 30円、ラーメン 400円というような感じだったので、現在価値だと600−700円くらいだろうか。現在のイカ玉の値段とほぼ等しい。
おっちゃんの仕事は、このステンのカップに入ったお好み焼きの中身をぐるぐるとかき混ぜて鉄板に乗せるまでだった。後は自分でひっくり返したりする。焼きそばは完成したものを目の前の鉄板に置くスタイルだった。
焼きそばはほぼ具なし(肉は追加トッピング)で、量はやたらにあったから腹ペコの時は焼きそばを頼むのだが、いつ食べてもうまいと思ったことがない不思議な食べ物だった。だから、余裕があればお好み焼きを食べ、追加でコーラを注文した。

おそらくお好み焼きにマヨネーズをかけて食べるという経験をしたのは、この風月が初めてだったよおうな気がする。それ以来、お好み焼きはイカ玉オンリー、財布に余裕があってもミックスだのデラックスだのは頼んだことがない。その後、全国で色々なお好み焼きを食べてみたが、どうも札幌風月のイカ玉の味が刷り込まれてしまったようで、いつも何かもの足らない感じがする。お好み焼きのバリエーションでお江戸風、大阪風、広島風、などなどどれが本物かみたいな論争に加わる気はないが、札幌人にとっては「風月」のおっちゃんの味が標準ということなのだね。

風月のサイトはこちら↓ 創業者おっちゃんのお話が書いてあります
https://www.fugetsu-sapporo.co.jp

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