書評・映像評

三多摩原人とは何か 「東京都三多摩原人」   

表紙 by mason

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三多摩原人

「孤独のグルメ」の原作者のエッセイで、東京都三多摩地区(東京23区の西にある市町村部)をあちこち歩いた記録。

基本的に散歩をして、たまに銭湯に入り、大体は締めに蕎麦屋でビールを飲む話などと書くと身も蓋もないということになる。が、実際には散歩を道具というか口実にして著者の過去にあった三多摩の原風景というか心象風景を語っているので、特別にグルメや名所旧跡を語るわけでもない。だから、ガイドブックとしてはあまり役に立たないし、著者の歩いた場所を追体験してみたいと思わせるようなものでもない。
逆に昭和30年代に生まれ、人生の半分が昭和、残り半分が平成という系譜を辿るには、こうした生まれた場所、そして育った場所の変遷を自分の目で確かめるというのが良い手法だと思わせる。
文体は簡潔で、わかりやすい。著者の本音語りが心地よい、肩肘張ってもいないし、人生を語るような高いところから視点でもない。東は田無、吉祥寺あたりから西は奥多摩の果ての旅館まで、電車と徒歩で歩き回った記録なので、東京西部はこんな場所だという理解の手助けにはなる。しかし、それなら「旅のガイド」を読めと言う話なので、やはり、ここは著者が育った昭和40ー50年代の武蔵野を一緒に感じてみるということなのだろう。24本の短編でかたる武蔵野あるあるみたいなものか。

お散歩エッセイとは、大方そんなものかもしれない。

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