書評・映像評

名優高倉健と降旗監督

勝手に命名した降旗監督の「健さんと女優三部作」
81年 駅Station
83年 居酒屋兆治
85年 夜叉
この後10年以上間を開けた後期三部作もあるが、やはりこの頃が健さんの一番脂の乗った時期だったような気がする。

https://www.amazon.co.jp/駅-STATION【Blu-ray】-高倉健/dp/B00897BNPW/ref=sr_1_24?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=降旗&qid=1573024943&sr=8-24

一年おきに公開された3作だが、その当時の美人女優と健さんの絡みで淡々と語られる男と女の話。
その最初が「駅」で、倉本聰原作のオムニバスストーリー的な物語になっている。

健さん扮する警察官が「銭函駅」「増毛駅」そして陸の孤島「雄冬」・・駅はない町で話が進む。銭函、増毛どちらも北海道でも相当なローカル駅で、両駅ともに冬の雪のシーンが映像の記憶として強く残る。
降旗監督は雪の季節の海の絵が好きらしい。
今見れば、銭函駅で駅弁が売っていたり、陸の孤島であった「雄冬」には、映画で言われている通り国道が通じて孤島ではなくなっていたり、隔世の感がある。古い映画を見返すと、その当時の記憶が蘇るのが楽しみだが、現代の若者には理解できないことも多いのだろうなと感じたりもする。
「探偵はバーにいる」シリーズでも、同じように冬のススキノ(北海道)が描かれているが、その風景が微妙に違っているのは、やはり時代の差なのだなあ。

北の国からの放映が81年10月からであったことから、この作品も同時期に倉本聰が書いていた脚本なのでろう。テレビと映画の差はありながら、絵柄が似ているのは納得するところだ。

映像的には、当時の風潮、流血シーンが露骨にあったり、逆にベッドシーンが抑えられていたりと、なかなか映画の中の「モラル的な表現方法」の違いが見えるのも面白い。やたらとタバコを吸うシーンが多いのも時代の違いだろう。

この映画の見所は、やはり倍賞千恵子の芝居で、健さんとの関係がもう一息と言うところまで進みながら、結局は破局。警察を辞める決意をしたにもかかわらず、結果的に同僚を撃った殺人犯を射殺してしまう健さんの複雑な思いがそれを彩っている。主役は健さんなのだが、倍賞千恵子が押しのけたような存在感を見せている。「幸せの黄色いハンカチ」で共演した時は出所する夫を待つ抑えた演技だったが、この作品ではその正反対で健さんの抑え気味な芝居を押し除けるくらいの勢いだ。
「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」と言う健さんのセリフが象徴的だ。

倉本節と降旗描写が相まって、健さんと美人女優の物語になっていくのだが、個人的にはこの当時の烏丸節子が一番綺麗だったような気がしている。また、一番最初に登場するワンシーンだけだった石田あゆみの泣き笑いの表情が、実は一番印象的だった。
降旗監督作品では、後年の「鉄道員」の広末涼子に匹敵する「女性の綺麗な瞬間」を切り取った名シーンだった。

不倫の上の離婚、殺人犯を兄に持つ女の離郷、昔の男を今の男に殺される女、三者三様の女の別れを描いた物語は不思議な印象を残したまま終わる。
この終わり方は、やはり「網走番外地」的なことなのだろうな。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中