朝食は喫茶店という文化は素晴らしい
名古屋で喫茶店に行くと、色々とおまけがついてくるという話は有名だと思うが、特にモーニングセットが一味違う。普段はホテルで済ませることの多い朝食を喫茶手で食べてみる価値はありそうだ。

名古屋の下町という大須観音のあたりは、食べ物や、居酒屋などがごちゃごちゃと固まっているカオスな街並みだ。その中の一軒、「コンパル」に開店とほぼ同時に乗り込んだ。にもかかわらず先客が何組もいる。超常連組かと思われる高齢者軍団だった。コンパルは他にもいくつか支店があり、メニューがそれぞれの店で微妙に異なるらしいのだが、モーニングは同じようなのでお試しに大須に来た。

コーヒーは、濃い。昔のおっちゃんたちがミルクと砂糖をたっぷり入れて飲んでいた時代のコーヒーだ。ミルクのピッチャーが泣かせる、味がある。

そして、モーニングセットのハムエッグトースト ¥130なり。このホットサンドもどき、中身は卵とハムのトーストサンドは、予想外にうまい。周りにいる常連客の半分くらいが、こいつを頼んでいた。確かに、コンビニで買うサンドイッチの半値くらいでこれが食べられるのだから、名古屋の人は幸せだ。

おまけは、びっくり名古屋めしの大関クラス、小倉トースト。あんこはしっかり甘い。あんこの下はたっぷりバターなので、最近はやりな「あんバター」の発祥は名古屋だったとわかる。しかし、あんこにバターとはいったいどのような発想から生まれるものだろうか。きっと何十年か前に、バタートーストの上に、間違ってアンコ落とした奴がいるのだよね。そして、それを「アア、もったいない」といって食べた締り屋さんも。
まあ、人類史の中で新しい食べ物が生まれる時は大体そんなものだよ。人類で初めて海鼠を食べたやつとか、初めてウニの殻を剥いて中身を食べたやつとか。そういうおっちょこちょいには感謝しなければならない。名古屋の、多分、喫茶店のおっちょこちょいにも感謝しよう。

表に出て看板を見れば、納得の分かりやすさ。店内でメニューを見るとコーヒーが400円で、ハムエッグトーストは130円なのだが、看板はモーニングセット合計額で表記、合理的で分かりやすい。ただし、ランチに関しては価格が分からなくなっても気にしないのも名古屋流なのか。実は、この「コンパル」ではランチのメンチカツサンドの方が有名らしいので、今度は昼に来なければいけないと決心しつつ、名古屋は喫茶店で朝食が正しいと納得できた。