書評・映像評

野性の証明 40年ぶりに見た

「お父さん、怖いよ・・・・」 このCMを見たことのある人たちはすっかりじじいにいなってしまっただろう。40年前の作品で、薬師丸ひろ子デビュー作で有名だが、実は昭和エンタテイメントの名作だ。

BD by Amazon

https://www.amazon.co.jp/野性の証明-角川映画-BEST-Blu-ray-高倉健/dp/B07KKFXWJY/ref=sr_1_2?__mk_ja_JP=カタカナ&keywords=野性の証明&qid=1571701378&sr=8-2

野性の証明 ・・・もはや古代の話

自分の中ではそんなに前のことと認識していないが、世間的に見るとほぼ過去事象とされることは多い。20年前のことであれば、古いと言われてもしかたがない。2000年前後の映画や本の話は「古い時代」の作品となる。それ以前となるともはや「古代」なのかもしれない。確かに最近、バブルの時代ってなんだったのかと聞かれることが多い。1990年前後に生まれた世代が社会の中堅層になってきたからだろう。となると1978年公開の映画など、超古代ということか。1980年前後といえば、角川映画の全盛期で超大作と言えば角川映画を意味したような時代だった。バブルが進行する前の、日本社会全体が圧倒的な右肩上がりで驀進中という景気の良い時代でもあったから、ハリウッドの大作に匹敵するような日本映画を作るという、挑戦的な意思もあったのだろう。

昭和の時代の自衛隊と暴力描写

お話の中身はいろいろと当時も突っ込みどころはあったのだが、「自衛隊」の当時の扱われ方が色濃く出ている。あの当時は、自衛隊を存在悪的に語ることも多かった。個人的には高校時代、自衛隊にはだいぶお世話になっていたので、悪感情は持っていなかったが、左翼が強い地方都市で生きていたので、一般的には自衛隊に対する風当たりは強かったような記憶がある。
高倉健が演じる自衛隊特殊部隊など、今の時代であればかなり好意的に描かれるような気がするが、あの時代ではやはり「暗く疎ましい」存在としての描写だ。地方都市の悪徳政治家みたいな話も当時は多かったが、現代ではあまり語られないテーマだ。20年あまり続いたバブル崩壊後の経済は地方都市の活力を根底から叩き潰したので、地域の豪腕政治家・地方財閥などという存在はいまや成立しないのだろう。(今でもそんなのいるのかという感じだが・・・いるのかなあ)
昭和映画の特徴でもある、過激な戦闘シーン、殺傷シーンだが、今ではあまり見られない凄さがある。これに類似するリアルさといえば、ゾンビ映画の戦闘シーンくらいか。この映画が作られた以降、急速にCG技術が進化し、CG全盛となった現代では、あまりグロな映像は作られない傾向にある。だから、この映画の戦闘シーンは、東映任侠映画で鍛えられた暴力描写のの到達点と見ても良いのかもしれない。
ラストシーンは、宇宙戦艦ヤマトと同じで特攻なのだが、やはりこの時代の美学は「自己犠牲と滅び」にあったのかと、再確認させられた。実は一番記憶に残っていたのはテーマ曲。映像よりも音の方が記憶に残るものだと改めて思い知らされた。やはり圧巻は、後半に展開されるサバイバルシーンで、戦車とヘリを投入した追跡劇だろう。当然、こんなシーンが国内で撮れるはずもなく合衆国で撮影されたそうだ。「こんな戦車、日本にいたか?」と思って見ていたら、やはり米国陸軍のものだった。当時は自衛隊協力で戦闘シーンは難しかったのだろうなあ。最近では、怪獣退治やらテロ退治やらで、バリバリ自衛隊協力のクレジットが入る映像があるのを見るにつけ、自衛隊を見る目も変わったものだと思う。
全盛期の健さんと薬師丸ひろこを見るだけでも十分価値があると思う角川映画の名作だ。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google フォト

Google アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中