書評・映像評

ナイト&マジック アニメ版

突然ですが、アニメを含めた映像関連の感想文を書き始めることにした。

誰でも見ているような新作ではなく、ちょっと古くても癖のある作品をぼちぼちと取り上げてみたい。画像はアマゾンの注文画面からリンクを貼っているので、興味がある方はそちらを参照いただきたい。なお、アフィリエイトではないので、購入をおすすめしているわけではない。

ナイト&マジック BDカバー by amazon

 異世界転生して巨大ロボット(モビルスーツ)を作る話。物理法則ではなく魔法の支配する世界での超科学的展開で王国と騎士と魔獣がいる。かいつまんで言えばこういう話で、遡ればこれの原型は「聖戦士ダンバイン」だろう。
 ノベライズされた「リーンの騎士」では、話が余計ややこしくなり収斂しないという富野的破綻ぶりだった。現世から転生された様々な国の人間が、何らかの力を持ったまま戦争に突入するという、ファンタジー版機動戦士ガンダムだった。出来としては「不作」であったと記憶している。
 富野作品はダイターン3以降ダメになるばかりだったというのが自分なりの評価だ。機動戦士ガンダムで良かったのは、ミノフスキー粒子という仮想物理によるリアルっぽいロボット世界の実装と、シャーという主人公より目立つ副主人公を造形したことだけ。

 転生もので、おまけにロボットの作動原理が魔法なので、当然リアル感はない。スーパーロボット系の展開であり、主人公は気の毒なくらい頭が良いのに人間関係に対する機微はない。そのくせ、国家的な陰謀とか政治的諍いについては妙に推理力が働く。そのため、主人公の周りの登場人物は、ある意味巻き込まれ型で、なし崩しに大型ロボットの開発と運用に携わることになる。
 あまり人が死ぬこともなく明るい調子で話は進むが、後半で登場する悪者の敵キャラは、少年ジャンプ的な改心をすることで味方になることもなく、サクサクと死んでいくところは現代的なアレンジということか。「悪は悪で滅びるが良い」ということなのだろう。
 ストーリー展開上は悪者=改心=いいものとなると新キャラを作らなくて良いので、製作者的には楽なのかもしれないが、悪者が憎々しいキャラであればあるほど、主人公たちへの感情移入が増す。そして、悪者はさっさと滅ぼされてしまい消え去ってしまえと思う、「見るもの」の期待を裏切るのが、悪党改心パターンなのだ。
 そろそろこの少年ジャンプ的な世界観、「結局のところ本当に悪い奴はいないのだから、拳を通して理解できるはず by ルフィ」的なストーリー展開が、古くなってきているということだと思う。悪役ギャラは使い捨ての時代になったということになるか。

 このラノベの世界というものは、活字(原作本)、絵(コミカライズされた別の解釈)、動画(アニメーション化され音や動き情報が付加されたもの)となるとそれぞれが微妙に異なる独立したコンテンツになるわけで、一番表現の自由度が高いのが活字、逆に強い制約を受けるのが動画となる。そのどれを良しとするかは「見るもの」の好みでしかないが、ことロボット物に関してだけは、動画が良い。ロボット物には、主人公の心理描写や敵役の事情説明などはいらないのだ。
 ただただ、人の見ることのできない角度からのロボットの戦闘・格闘が見たいだけなので、宇宙戦艦の艦隊機動戦など登場する必要もない。艦隊機動戦をやりたがる人はガンダムやヤマトの悪影響を受けている。
 その論点(宇宙の格闘戦)からいうと、画期的でメルクマールだったのが、ガンダム1stと、超時空要塞マクロスであり、リアル系(一見物理法則どうりに見える)ロボットアニメだ。物理法則など無視したファンタジーな動きをするのが巨大ロボットが足や背中に背負った噴射装置で空を飛ぶスーパー系で、しばしば合体もする。リアル系もスーパー系も、まあ、好みの問題だ。そして、次第に主人公が人間関係に悩み、社会の矛盾に苦悩し、復讐することの無情さに気付かされるようになると、まあ実につまらない猿芝居になっていく。(どれがそうだとは言わないが、後期富野作品はみんなその傾向にある)

 この話は、ただただ明るい主人公(ロボット作りたいというたった一つの動機)が、悪い奴をやっつけながら、周りの人間を巻き込むという、屈折要素と裏表がない話なので、それはそれは爽快感がある。話のテンポも早いので、ロボット好きな人にはオススメの小品だろう。

今後は、不定期に書評なども合わせてアップ予定

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